年末調整の時期ですね。
会社によってスケジュールは異なりますが、11月中に従業員から必要書類を提出してもらい、12月の給与で過不足の精算が行われることが一般的です。
毎年行っている年末調整ですが、税制改正の影響などで変更することも多く、前年と同じように進めていると不備が発生することも。
今回は2022年(令和4年)の年末調整の変更点について解説します。
なお年末調整だけアウトソーシングするという企業も増えています。詳しくはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてください。
2022年の年末調整の変更点は1つ
2021年(令和3年度)は、押印廃止や事前申告の廃止などがありました。
今年2022年(令和4年度)の変更点はじつは1つだけ。
しかし来年2023年(令和5年度)変更予定のものがいくつかありますので、のちほど紹介します。
まず今年の変更点を解説します。
控除証明書の電子データ提出の適用範囲が拡大
現在、国は年末調整業務の電子化を推進しています。2020年以降、生命保険や地震保険などの控除証明書、住宅ローン控除証明書などが電子データで提出可能になりました。
そして今年から、次の2つも電子データでの提出が可能に。
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
電子的控除証明書等の受付ができない会社の場合、従来どおりの紙の控除証明書や、国税局提供の「QRコード付証明書等作成システム」を利用し書面で出力して提出することも可能です。
2023年の年末調整は大きな変更点も
2023年(令和5年度)は、すでに現段階で、つぎの2点の変更が決まっています。
- 住宅ローン控除の要件変更
- 非居住扶養親族の適用範囲変更
具体的に解説します。
住宅ローン控除の要件変更
住宅購入で金融機関などの住宅ローンを利用した場合に、年末の住宅ローン残高に応じて毎年所得税や住民税が控除される制度「住宅ローン控除」。
令和4年度税制改正では、控除期間の延長や控除適用基準の見直しが行われたほか、控除率が引き下げられるなど大きな変更がありました。
住宅ローン控除は初年度に確定申告が必要で、年末調整で控除するのは2年目以降となるため、2022年度に住宅購入をした場合、来年度より年末調整を行うことになります。
変更になった主な各種要件は次のとおりです。
- 住宅ローン控除率が1%→0.7%
- 新築住宅の控除期間が10年→13年
- 省エネ住宅の借入上限が上乗せられ、一般住宅の借入上限は引き下げ
- 住宅ローン控除適用所得要件が3,000万円以下→2,000万円以下
- 新築住宅床面積緩和要件50㎡→40㎡の適用期限が令和5年12月31日まで
- 除余剰額の住民税からの控除上限額が13.65万円→9.75万円
- 借入金残高証明書の添付が不要に
- 既存住宅の適用対象となる築年数の要件が廃止
非居住者扶養親族の適用範囲変更
扶養控除の対象となる扶養親族の要件が変更になりました。具体的には、国外に居住する「非居住者」は、これまで「16歳以上」でしたが、「30歳以上70歳未満」は除外されます。
ただし30歳以上70歳未満の非居住者でも次に該当する人は扶養控除の対象です。
- 留学生
- 障がい者
- 扶養控除の適用を受けようとする居住者から生活費や教育費等で38万円以上の送金を受けけている者
まとめ
- 今年の年末調整変更点は控除証明書の電子申告適用範囲の拡大
- 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除が電子データ提出可能に
- 来年は大きな変更が複数想定されている
2022年の年末調整の変更点は1点。「社会保険料控除」と「小規模企業共済等掛金控除」が電子データ提出可能になったことのみです。
しかし現時点で、来年度の大きな変更が2点決定しています。最新の情報を確認し、不備が発生しないよう注意しましょう。