女性にとって身体的にも精神的にも、そして社会的にも大きな変化が起こる妊娠・出産。
特に働く女性が妊娠した場合、自分にも赤ちゃんにも、そして会社にも、どのような対応を取ることが最善なのか悩むところです。
今回は働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために、知っておきたいことをご紹介します。
妊娠してから妊娠15週目までを「妊娠初期」と呼びます。
上司や同僚に「妊娠を報告するのは安定期(妊娠16週を迎えた頃)に入ってから」と考えている人も多いですが、妊娠初期はつわりなど、体調の変化や不調が現れやすくなる時期です。
直属の上司には、妊娠初期のタイミングで妊娠したことを伝え、協力してもらえるようにしておきましょう。
なお同僚に妊娠を報告するのは、安定期に入ってからが無難でしょう。
妊娠したら、定期的に健康診査等を受ける必要があります。勤務時間の中で健康診査等を受けるための時間が必要な場合は、会社に申請すれば時間を確保することが可能。これを「通院休暇」といいます。
有給か無給かは会社の定めによって異なるため、確認しておきましょう。
有給の場合、通院休暇を取得しながら給与の支給も受けられます。一方で無給の場合は、給与は支給されませんが欠勤扱いになりません。
年次有給休暇を取得して通院することも可能ですが、事業主が年次有給休暇などを使って通院休暇に充てるよう指示することは認められません。つまり女性労働者が自ら希望して年次有給休暇を取得して通院することはできます。
母性健康管理とは、妊娠中・出産後1年以内の女性労働者が主治医や助産師から指導を受けること。
勤務時間の短縮や作業の制限、休業などの指導を受けた場合には、会社に申し出て措置を講じてもらいましょう。事業主は必要な措置を講じることが義務づけられています。
パートタイムや派遣労働者等についても、母性健康管理の対象に含まれます。
交通機関の混雑による苦痛は、つわりの悪化や流・早産等につながるおそれがあります。
医師等から通勤緩和の指導があった場合には、妊娠中の女性労働者が申し出ることにより、フレックスタイムを適用したり、交通手段・通勤経路の変更をしたりなど、通勤緩和の措置を受けることができます。
また医師等から休憩に関する指導があった場合には、休憩時間の延長や休憩回数を増やすなど、必要な措置を受けることも可能です。
労基には、妊娠・出産に関する女性労働者への保護が定められています。例えば次のようなものです。
- 妊産婦等の危険有害業務の就業制限
- 妊婦の軽易業務転換
- 妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限
- 妊産婦に対する変形労働時間の適用制限
妊産婦等は、妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就くことはできません。
また妊娠中に負担となる業務は、会社に申請すれば他の軽易な業務に転換することができます。
妊産婦が請求すれば、時間外労働や休日労働、深夜業をする必要はありません。
変形労働時間がとられる場合にも、妊産婦が請求すれば、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働する必要はありません。
産前休業は、出産の準備をするために設けられた休業期間。出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得できますが、取得は任意です。
なお出産予定日よりも実際の出産日が後の場合は、その差の日数分も産前休業に含まれます。
正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど、どんな働き方でも取得可能です。
産後休業は、出産後の体の回復を目的とした休業期間。出産の翌日から8週間は就業することができません。
ただし産後6週間を経過後に本人が請求し、医師が認めた場合は就業することができます。
産後も産前と同様、正社員、パート社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど、どんな働き方でも取得可能です。
1歳に満たない子を養育する労働者は、男女を問わず、希望する期間子どもを養育するために「育児休業」を取ることができます。育休は原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得可能。
正社員だけでなく、契約期間の定めのある労働者であっても、一定の要件を満たしていれば育児休業を取ることができます。
育児休業を取るには、まず会社の規定を確認してください。育児休業を取得する場合は、遅くとも1ヶ月前までに会社に育児休業申請書を提出しましょう。規定がない場合でも、育児・介護休業法によって請求ができます。
育休を取得すると、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
雇用保険の一般被保険者で、1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月または2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得するなどの要件を満たした方が対象。
支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(休業開始から6ヶ月後は50%)相当額となっています。
3歳に満たない子を養育する男女労働者について、事業主は短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければならないことになっています。
ただし雇用期間が1年未満の労働者や業務の性質上、短時間勤務制度をが難しい場合は、時短勤務ができないことも。その場合事業主は、育児休業に関する制度に準ずる措置やフレックスタイム制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなどといった措置を講じる必要があります。
働く女性にとって、安心して赤ちゃんを迎える準備、そして産後の身体の回復と赤ちゃんとの新生活は、とても大切なこと。
特に妊娠中は上司や同僚など職場の協力を得て、無理のない勤務ができるように工夫しましょう。無理は禁物です。
働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために、産休や育休などさまざまな制度についてしっかりと知識をつけておきましょう。
DFEでは、産休育休の休暇はもちろんのこと、不妊治療休暇制度も用意し、女性が活躍できる社会を目指して、制度の拡充を進めています。
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