「一般健康診断」とは、法律で義務付けられている定期健康診断のこと。「法定検診」とも呼ばれます。
企業は1年に一度、従業員に「定期健康診断」を受けさせなければなりません。
また従業員を雇い入れる際には「雇い入れ時の健康診断」が必要です。
- どんな項目を受ける必要があるの?
- もし受けなかったらどうなるの?
- 人間ドックとはどう違うの?
そんな疑問を持っている担当者もいるのではないでしょうか。
今回は一般健康診断の種類や法定項目、疑問について解説します。
一般健康診断とは、事業主が労働者に対して実施することが法律で義務づけられている健康診断のこと。
主な一般健康診断は次のような検診です。
- 雇い入れ時の健康診断
- 定期健康診断
- 特定業務従事者の健康診断
- 海外派遣労働者の健康診断
- 給食従業員の検便 …など
このうち全ての企業に共通する健康診断が、「雇い入れ時の健康診断」と「定期健康診断」です。
企業が従業員を雇い入れる際、必ず健康診断を実施しなければなりません。
雇い入れ時健康診断は、基本的に通り雇い入れの”直前”または”直後”に実施します。
対象となる人は正社員だけではなく、条件を満たすパートやアルバイトも検査対象。
条件とは「1年以上雇用する予定があり、週の労働時間が正社員の4分の3以上」の労働者です。なお派遣労働者は、労働者の派遣元で実施します。
雇入れ時健康診断の検査項目は、以下の11項目です。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量および赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無)
- 心電図検査
雇入れ時健康診断は、検査項目を省略することができません。
企業は、1年以内に一度、必ず定期健康診断を受けさせなければなりません。
原則、定期健康診断の間隔を1年以上空けることはできませんので、実施シーズンには注意が必要です。
定期健康診断の検査項目は、雇い入れ時の健康診断とほぼ同じ11項目。詳しくは次の通りです。
- 既往歴および業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長(※)、体重、腹囲(※)、視力、聴力の検査
- 胸部エックス線検査(※) 及び喀痰検査(※)
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量および赤血球数)(※)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GT)(※)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)(※)
- 血糖検査(※)
- 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無)
- 心電図検査(※)
※の項目は、医師の判断によって省略可能
一般健康診断と人間ドック。どちらもよく耳にする言葉ですが、その違いを簡単に説明すると、一般健康診断は定期的に基本の項目を受診するもので、人間ドックは任意で詳しく調べる検査です。
ここからは一般健康診断のよくある疑問を紹介します。
A、会社が負担します。
健康診断は自由診療のため、保険適用外です。
費用はさまざまですが、定期健康診断は一人当たり5,000円~15,000円前後が一般的。
選ぶ際は費用だけでなく、設備や予約の取りやすさなどさまざまな視点から検討しましょう。
A、企業が50万円以下の罰金を科せられます。
対象の従業員は、健康診断を必ず受けなければなりません。
会社側が受診するように案内しても、従業員が拒否し受けてくれないことのあるでしょう。この場合でも違法となり、企業側が50万円以下の罰金となります。
そのためあらかじめ企業は、健康診断の受診を拒否した場合には懲戒処分の対象となることを規定し、従業員に周知しておきましょう。
A、会社で5年間保管します。
保存方法は、紙でも電子データのどちらでもOK。
なお健康診断は要配慮個人情報にあたるため、原則として本人の同意なしで取得ができません。
A、従業員規模が50人以上である場合は必要です。
所轄の監督署へ「定期健康診断結果報告書」を提出してください。なお報告に必要な書類は、厚生労働省サイトにてダウンロード可能です。
従業員数50名未満の企業は、健康診断結果の報告義務こそありませんが、健康診断の実施義務はあります。
- 1年に一度「定期健康診断」を受けることは義務
- 法定項目は基本的に11項目
- 人間ドッグは希望制なので基本的に実費
「定期健康診断」を受けさせることは会社の義務ですし、受けることは従業員の義務です。必ず1年に一度受診しましょう。
また結果が芳しくなかった場合、再検査の受診は従業員の判断に委ねられています。
従業員の健康は、本人はもちろん、会社側にとっても大きな財産です。企業は従業員が安全で健康に働けるよう対応することが大切です。
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