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2023年10月よりついにスタートしたインボイス制度。
従来の「区分記載請求書」ではなく、インボイス・つまり「適格請求書」を保管しなければ、消費税の仕入税額控除が受けられません。
「区分記載請求書」では、取引価額が税込3万円未満の場合は、請求書等の保存がなくても一定の帳簿保存で仕入税額控除が認められていました。
しかしインボイス制度では、この措置が廃止に。基本的に仕入税額控除にインボイスは必要です。
では会社員にとって身近な「旅費交通費」は、どのような取扱いになるのでしょうか。解説します。
インボイス制度には，一定の事項を記載した「帳簿の保存のみ」で仕入税額控除が認められる特例が用意されています。特例には、次の2つが大きなポイントになってきます。
- 従業員の立替精算
- 旅費規定による出張旅費
「従業員の立替精算」か「旅費規定による出張旅費」かで、取扱いが異なります。
従業員が立替精算する場合、会社が仕入税額控除を受けるには、原則として会社宛ての適格請求書が必要です。
従業員は、適格請求書の要件を満たした”会社宛の”領収書を提出しなければなりません。
適格請求書の宛名が従業員だった場合は、従業員が「立替金精算書」などを作成することにより、仕入税額控除を受けることができます。
なお3万円未満の公共交通機関は、インボイスの発行義務が免除されていますので、従業員が立替精算した場合でも「公共交通機関特例」などと明記することにより、適格請求書なしで仕入税額控除を受けることが可能に。ただし同じ交通費でも航空機やタクシーの運賃、高速道路や駐車場の利用料は3万円未満であってもインボイスが必要です。
また3万円以上の運賃であっても、乗車券などが使用時に回収されるケースもありますよね。この場合は、入場券等回収特例であることや公共交通機関の住所などを帳簿に記載すれば、適格請求書なしで仕入税額控除を受けられます。
立替金精算書の記載事項や様式は決まっていません。従業員名/出張日・支払日/支払先・内容/領収書などが特定できる記載などを明記しておきましょう。
出張旅費規程とは、出張に係る交通費、宿泊費、出張手当などの各種経費に関する取扱いを定めた会社の規程です。
出張旅費規程による日当や出張旅費を支給する場合、「出張旅費等特例」などと記載すれば帳簿のみの保存でOK。適格請求書は不要です。
ただし従業員はインボイス事業者ではないため、会社側はインボイスの交付を受けることができません。
帳簿保存のみで仕入税額控除が認められるケースは、じつは9つあります。それは次のとおりです。
- 適格請求書の交付義務が免除される３万円未満の公共交通機関による旅客の運送
- 適格簡易請求書の記載事項（取引年月日を除く）が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引（1に該当するものを除く）
- 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物（古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る）の購入
- 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物（質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限る）の取得
- 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物（宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る）の購入
- 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品（購入者の棚卸資産に該当するものに限る）の購入
- 適格請求書の交付義務が免除される３万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
- 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス（郵便ポストに差し出されたものに限る）
- 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等（出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当）
- ポイントは「従業員の立替精算」か「旅費規定による出張旅費」か
- 立替精算の際は、適格請求書の宛名を事業者名にする
- 事業者名でない場合は、「立替金精算書」を作成し保存
- 特例を適用する際は、帳簿に「公共交通機関特例」「出張旅費等特例」などと記載する
インボイス制度にはさまざまな特例や注意点が存在しますが、社内での経費精算ルールは明確になっていますか？
交付されたインボイスに不備があった場合には、会社は仕入税額控除を受けることができなくなります。
従業員は立替金精算書の作成方法などが必要になる場合もあるので、マニュアルを作成したり説明会を開いたりして、従業員がしっかり理解できるようにしておきましょう。
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