当ブログでシリーズ化している「不正経理事件簿」。
紹介するたびに「なぜこんな巨額の不正に気づかなかいのか」と、どこか他人事に感じている人もいるのではないでしょうか。「うちの会社は大丈夫」「うちの組織にそんなお金はない」と思っている方は要注意です。
今回紹介する事例は2件。
長年にわたり総額26億円を超える横領事件と、小さな町役場で長年にわたって複数の課で行われていた不適切な会計処理事件を紹介します。
決して他人事ではありませんよ。
今年、長野県の建設会社「ヤマウラ」の子会社で、不適切な支出が繰り返された事件が発覚しました。
その総額は、なんと26億円超え。
2013年3月から不正が始まり、2023年4月にかけ、234回に渡りお金が引き出されていたそう。当初は1回あたり数十万円の小口の金を引き出し、徐々に金額が大きくなっていったようです。
この事件に関与したのは経理課長たった1人。
お金は、長男の個人口座や長男が代表を務める会社などに振り込まれていました。
「ヤマウラ」は大きな会社です。にもかかわらず1人の社員が、長年にわたり26億円を超えるお金を横領した(できてしまった)この事件。35年間も経理畑だったというこの男の実績で、周りは安心しきってしまっていたのかもしれません。
続いて紹介するのは、人口2,500人余りの小さな町・島根県隠岐諸島の西ノ島町役場で起きた裏金事件。
この事件は10年以上もの間、(当時の)職員らが架空請求を繰り返し、町から公金を詐取していたのですが、驚くのがなんと、役場にある全ての課と議会事務局が断続的に裏金作りにかかわっていたという点。
年度内に使い切れなかった国や県の補助金を、取引業者側に不正にプールさせる「預け金」を利用し、不適切な会計処理が行われていました。総額は約6,300万円。
事件発覚後におこなった無記名式のアンケートでは、”預け”を行ったと答えた職員が多数おり、さらに「担当者間で引き継ぎがあった」とも答えたそう。
つまり小さな町役場の職員が「悪いことをしている」という認識がありながら、不正経理を長年にわたりみんなで行っていたのです。
今回のポイントは、職員の誰もが「以前からやっているから」「みんなやっているから」と、不正を代々行っていたこと。真っ当な感覚が、周りの影響でだんだん麻痺してしまったことにあります。
今回は2件の不正経理事件を紹介しました。「そんなバカな…」と思うような不正事件ですが、実際に起きています。
「経験や実績のある人に任せておけば大丈夫」という社員さんがいる会社も多いでしょうが、不正経理事件が起こった会社のほとんどが、発覚するまで起こした人のことを疑っていませんでした。
不正経理を起こさないためにも、やはり第三者の監視の目は必要不可欠。
そんなときはDFEのバックオフィスアウトソーシングも検討してみてください。全部でも一部でも。経理お困りごとや心配事をサポートさせていただきます。