経理は経営管理。ということで会社の経理担当者を長期雇用で安心して任せたいと考えている方は多いと思います。
ただ、雇用には隠れたリスクがあることをご存じでしょうか?今回は雇用のリスクから、その対処法を紹介したいと思います。
経理担当者を雇用した場合のリスク
経理担当者を雇用した場合に考えられるリスクは主にこの3つです。
- 退職や休職のリスクが大きい
- 属人化が発生する
- 人間関係のトラブルが起きる
・退職や休職のリスクが大きい
雇用した人材の退職や休職は大きなリスクであり、コストの増加につながります。経理業務は取引先への支払、請求書の発行や支払が行われたかのチェックなど、キャッシュフローに大きく影響する仕事が多いので、急な退職や求職でも穴を空けることができません。しかし、中小企業では経理業務を1人や2人の少数で行っていることも多く、急な退職・休職に対応できないケースがあります。もし、支払いや請求漏れが起きると会社の信頼に影響を及ぼしてしまいます。
コストの面では、次の担当者を採用するための採用活動費とそれに伴う人件費がかかってきます。採用後も、業務を任せられるようになるまでは人件費にプラスで教育に関わる費用が必要になります。その担当者が退職となった場合には、いままでの費用が無駄になる可能性もあります。
・属人化が発生する
少人数の組織では経理などの事務を1人でこなしているケースも多いでしょう。その場合のリスクが属人化です。属人とは、決まった担当者以外は、その担当者がこなす業務が分からない状況をいいます。いわゆる一人に任せっきりの事です。
この属人化が起きていると、急なトラブルに対応ができない、不正されても分からないなどのリスクが発生します。例えば、担当者が事故に巻き込まれて、出勤ができないとなった場合でも誰も代わりをこなすことができません。もし、取引先への支払などが遅れてしまうと信用が落ちます。また、属人化が起きていると現金を少し抜いたりしても不正に経理処理をしてごまかすこともできてしまいます。
・人間関係のトラブルが起きる
ひとつの組織内で複数人が働いていると、トラブルが起きることもあるでしょう。例えば、他の従業員と比べての給与面や就業待遇での不満、ハラスメントなどです。
最悪の場合、スキルのある従業員が退職し、会社に不満ばかり言う従業員が居座り続けることになったり、悪い噂を世間に流されてしまいます。
リスクを抑える対処方法
先にあげた雇用するリスクを全くのゼロにすることは難しいですが、抑えることは可能です。その方法を3つ紹介します。
- アウトソーシングを活用する
- スポットでの人材派遣を利用
- 業務効率を上げて雇用を減らす
・アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは代行のことで、業務を外部に任せることを意味します。
アウトソーシングすることで社内のリソースを使うことなく業務をこなすことができるので、雇用する必要がなくなります。
アウトソーシングには会社にきて作業してもらう訪問型と別の場所で作業するリモート型があります。また任せることができる範囲も会社によって違うので、事前に打合せをして確認しておきましょう
アウトソーシングでどこまで任せられるのかをこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
経理のアウトソーシングはどこまで任せられる?
・スポットでの人材派遣を利用
人材派遣の利用も雇用することなく、業務をこなすことができる手段のひとつです。
人材派遣とアウトソーシングの違いは依頼の方法です。
人材派遣は時間単位での依頼になります。ですので1時間当たりの金額を支払い、指示をした業務をこなしてもらいます。
一方でアウトソーシングは成果物に対しての依頼です。例えば、毎月20日までに前月の試算表を納品してもらうなどです。
より詳しい比較を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
経理のアウトソーシングと人材派遣を比較してみた
・業務効率を上げて雇用を減らす
最後に紹介するのは自社内での業務効率を上げることで雇用を減らす方法です。方法は主にこの2つです。
- 業務フローの整理
- ツールの導入
・業務フローの整理
現在の業務を棚卸して、ムダ・ムリ・ムラを探しだして改善するという方法です。 こちらは無料で行うことができるので、雇用を考える前に一度社内で実施してみましょう。
・ツールの導入
RPA、いわゆる自動ツールを利用するなどして業務を効率化する方法です。単純作業や決まった作業の業務はAIに任せることができるかもしれないので、人がこなす業務を大幅に減らすことができるかもしれません。もし、単純作業に取られている時間が多い場合は導入を検討してみることをおすすめします。
まとめ
- 退職・求職、属人化、人間関係のトラブルリスクが雇用にはある
- アウトソーシングや派遣で外部に任せることで雇用を減らせる
- 業務フローの整理やツールの導入で従業員の負担を軽減できる
経理は経営管理のこと。非常に重要ですので起こりうるリスクにはできる限り備えておきましょう。