「円高」と「円安」。
ぼんやりと意味はわかっているけれど、ビジネスや消費、投資など、私たちにどのような影響をもたらすのか、詳しくは説明できないという人も多いのではないでしょうか。
今回は円高・円安とはどういうことか、またFX取引と円高・円安の関係について解説します。
そもそも円高・円安とは
『円高』とは、外国の通貨の価値に比べて、円の価値が高くなること。
反対に円の価値が低くなることを『円安』といいます。
もちろん外国の通貨には、米ドルをはじめ、ユーロや英ポンド、スイスフラン、オーストラリアドルなどさまざまな種類があり、それぞれの交換比率が為替相場(為替レート)です。
為替相場は、市場における需要と供給のバランスによって決まります。例えば円を外貨に換える需要より外貨を円に換える需要が多ければ円高が進行。つまり円の需要が高ければ円の価値が上がるということです。
ここから先は「米ドル」と「円」の通貨ペアで解説していきます。
円高・円安がもたらす影響の例
例えば為替相場が「1ドル=100円」の時に海外旅行に行くとします。お小遣いに10万円を用意し、これをドルに両替すると「1,000ドル」が手渡されます。(※手数料は考慮しません)
「1ドル=120円」、つまり1ドル=100円に比べ『円安』の為替相場の時に、同じように10万円を両替すると「約833ドル」となり、お小遣いが約167ドルも少なくなってしまいます。円の価値がドルに比べ低いということです。
逆に「1ドル=80円」、つまり1ドル=100円に比べ『円高』の為替相場の時に、10万円の両替をすると、「1,250ドル」に。1ドル=100円の時よりも余裕をもって買い物などができます。つまり円の価値が高くなっているということです。
このように海外旅行へ行ったり輸入品を購入したりする消費行動にとって『円高』はメリットといえます。一方で円高の場合、海外で販売する日本の商品の価格は高騰するため売れにくくなり、例えば日本経済を支える自動車産業などにとって大きな打撃に。
逆に『円安』の時の海外旅行や輸入品の購入は、円高時に比べ購入できる価格や量は低く(少なく)なります。化石燃料を輸入に大きく依存している日本において、円安は物価上昇に直結。食品の高騰も懸念されます。これは大きなデメリットでもありますが、円安であれば海外で自動車をはじめとした国内製品が売れやすくなるのはメリットといえるでしょう。
つまり円高と円安は一長一短。それぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらがいい・悪いということはありません。
FX取引の円高・円安
外貨への投資である『FX』。
FXで利益を出す方法は次の2つ。
- 為替レートの変動を利用する「為替差益」
- 金利差を利用する「スワップポイント」
円高・円安が大きく関係するのは「為替差益」。為替差益とは、「円安/ドル高」や「円高/ドル安」といった通貨の動きを利用して利益を得る事です。
FXは「売り」からスタートできる
為替差益の出し方には、次の2つのパターンがあります。
- 安く買って高く売る
- 高く売って安く買う
FXの大きな特徴は、外貨を「買う」取引からだけでなく、「売る」取引からスタートできること。つまり「外貨を持っていないのに売ることができる」のです。そのためFXは円高でも円安でも利益を生むチャンスがあります。
例えば1ドル100円で買って120円で売れば、20円の為替差益に(※スワップポイントや税金等は考慮しません)。1ドル100円が120円になった20円の利益は『円安』が関係しています。
逆に1ドル120円の時に売り100円の時に買い戻せば、20円の為替差益に。1ドル120円が100円になった20円の利益は『円高』が関係しています。
もちろん為替レートの変動によって損失をこうむる「為替差損」になることもあり得ます。「買い」からはじめる場合、取引開始時より円高になると損失、「売り」からはじめる場合は円安に動けば損失が発生。投資はリスクを伴うこと理解して取引をしましょう。
まとめ
- 円高・円安はそれぞれにメリット・デメリットがある
- FXは円高・円安どちらにも利益を得るチャンスがある
- 円安なら円を売ってドルを買う
- 円高なら円を買ってドルを売る
円高でも円安でも利益を狙うことができるFX。少額の自己資金しかなくても最大25倍まで取引が可能で、大きな利益が得られる一方で、予想が間違っていれば多額の損失をこうむることになります。リスクもしっかりと理解して取引を行いましょう。