経理をアウトソーシング(代行)される会社が非常に増えてきています。中でも相性がいいのが中小企業です。
これを読んでいる中小企業の社長、経理担当者の人は記帳や管理業務に追われていたりしませんでしょうか?
専属スタッフの採用や社内からのリソースをバックオフィスに割くことができない中小企業こそ、アウトソーシングで大きく社内の改善が可能です。
ただ、せっかくアウトソーシングを導入したが失敗したという話も聞きます。我々としてはそんな人をゼロにしたいと考えています。
そこでこの記事では、経理をアウトソーシングすることのメリットと失敗しないためのポイントをお伝えします。
経理をアウトソーシングする11のメリット
中小企業に経理のアウトソーシングをおすすめする理由はメリットが非常に大きいからです。大企業でもアウトソーシングするメリットは非常にありますが、まだまだバックオフィスに資金やリソースを割きづらい中小企業の方がよりメリットがあります。
経理をアウトソーシングするメリットはこちらです。
- 退職のリスクと採用の手間がなくなる
- コア業務に集中することができる
- コストを減らすことができる
- 働き方改革を進められる
- 閑散期、繁忙期の生産性を気にしなくてもよくなる
- 業務品質が向上し安定する
- 事業拡大、縮小時にも人員整理のストレスがなくなる
- 属人化のリスクをなくすことができる
- 社内トラブルを防ぐことができる
- 外部ノウハウを取り込みことができる
- 会計規則や法令の改正も自主的に情報収集しなくてもよくなる
それでは順番に解説します。
1.退職のリスクと採用の手間がなくなる
アウトソーシングすると人材の退職リスクがなくなります。時間とお金をかけて教育して、重要な業務を任せていた社員の退職は会社にとって非常に大きな損失ですよね。
業務に穴が開くと同時に、新しく人材を採用する手間も発生します。時間とお金をかけて採用することができても、その後の教育にもコストがかかります。また、属人化しやすい経理業務では引き継ぎが大変だったり、採用のミスマッチが起こりやすいなどのリスクも隠れていて、非常にストレスになってしまいます。
アウトソーシングをしていればスタッフが退職することはないので、採用や教育が必要になることはありません。
アウトソーシングを依頼している会社内で担当者の退職が発生しても、会社内で引き継ぎが行われるだけなので、業務に支障をきたすことはないのです。
2.コア業務に集中することができる
中小企業では経営者が経理を管理していたり、営業が入力を兼任したりしているケースも多く見られます。この経理業務をしている時間を次の戦略を考えたり、営業活動をする時間に変えることで、より会社全体の生産性を上げることができます。
経理の専任がいる場合でも日々の会計業務から資金繰り、銀行との折衝など業務が多岐にわたることが多いです。入力や給与の計算などの一部の業務をアウトソーシングすることで、重要度の高い業務により専念することが可能です。
詳しくはこちらの記事で解説しております。
バックオフィスのアウトソーシングは業績向上の鍵!?
3.コストを減らすことができる
同じ業務量を経理担当者を雇用してするのとアウトソーシングするのとでは、アウトソーシングした方がコストが抑えられるケースが多いのです。
社内で雇用をした場合にかかる主なコストは毎月の給与、交通費、社会保険料、賞与などです。
一方、アウトソーシングは業務量に応じた費用のみがコストとなります。初期手数料が発生することもあるので最初の1,2ヶ月は割高と感じるかもしれませんが、それ以降は低コストで運用が可能です。
また、場合によっては会計ソフトも自社で持つ必要がなくなりますので、システム面のコストカットもでき、人件費だけでなく経理関連の費用をまとめて抑えることができます。
4.働き方改革を進められる
多くの会社に見られるのがちなのが、経理担当者の月末月初の残業です。売掛金、買掛金の管理や給与計算、月次決算など経理業務がたまりやすいからです。
それだけでなく、経理担当者は一人で複数の業務を受け持つことで残業が常習化したり、まだまだIT化が進んでおらず経理だけ在宅勤務ができないなど、働き方改革の問題も多いです。
アウトソーシングを活用することで、社員の作業量をピンポイントで減らすことができます。例えば、月末月初の残業の原因が給与計算であったなら、その作業だけアウトソーシングすることで残業をなくすことが可能です。
そもそも社内に経理部をおく必要もなくなるかもしれないですよ。
5.閑散期、繁忙期の生産性を気にしなくてもよくなる
人員を管理されている管理職の方でしたら、繁忙期と閑散期の人員配置は大きな悩みのタネになります。アウトソーシングをしていた場合、閑散期だけ外部に依頼する範囲を狭くしたり、依頼そのものをなくしたりすることが可能です。
繁忙期には大いにアウトソーシングを活用し、閑散期は自社の社員のみで業務をするなどカスタマイズが可能なので人員の管理が非常に分かりやすくなります。
6.業務品質が向上し安定する
経理は経営の指標をつくる業務のため正確さとスピードが求められます。しかし、人手不足、スキル不足、急なトラブルなどで常に安定した高品質な業務を行うのはなかなか難しいものです。
アウトソーシングであれば、作業するのは経理の経験豊富なプロが行うので正確です。また、アウトソーシング会社によっては複数人で作業を行うため一人でこなすよりも何倍も早く業務を完了することができ、急なトラブルにも安定した対応が可能なので安心です。
7.事業拡大、縮小時にも人員整理のストレスがなくなる
事業の拡大時や縮小時にも人員はひとつの悩みのタネになりがちです。例えば、拡大時、新しくひとり採用をするほどの業務量が増えたわけではないが、今の人数では足りないなどです。どうしようか困りますよね。
アウトソーシングなら増えた分の業務を新しく契約範囲に加えるだけで済むので、人員で悩む必要がなくなります。
アウトソーシングの範囲については細かな調整が可能なので、会社の発展に合わせた依頼をしていただけます。
8.属人化のリスクをなくすことができる
属人化とは知識やノウハウが他の担当者に共有されず、特定の担当者だけのものとなっている状態です。
経理は専門の知識が必要な業務であるため、属人化が起こりやすいとも言われています。
経理部内で属人化が起こると、業務でミスが起きても周りが気づけない、急な退職が発生した場合に他の誰も担当者のノウハウを知らないので引継ぎがスムーズにできないなどのリスクが発生します。
属人化を防ぐには知識やノウハウの共有することが大切です。アウトソーシングしていれば共有ができている状態ですので属人化が発生することはありません。
また、属人化が起きてしまっていても、アウトソーシングを始めるタイミングで業務プロセスの見直しをプロを交えて行えるので、属人化を解消することができます。
9.社内トラブルを防ぐことができる
組織で働いている以上、社内でのトラブルは必ず発生するでしょう。
人間関係のちょっとしたトラブルならまだしも、経理担当者が他の社員の給与情報を喋ったり、接待などの必要な経費を愚痴っぽくばらまく事で大きなトラブルに発展することもあります。長年勤務していた経理担当者が累計で数十億の横領をしていたケースもあります。
そこで、給与や経費精算など問題が起こりそうな箇所をアウトソーシングすれば、社内トラブルのリスク回避することが可能です。
給与計算のアウトソーシングについてはこちらで詳しく解説しています。
給与計算アウトソーシングの料金とメリットを解説!
10.外部ノウハウを取り込みことができる
自社の中だけで業務が完結していると他社がどうしているのかや、効率を上げるためのノウハウを得る機会がないことが多いです。
特にバックオフィス業務はシステムの発展も早く、新しい情報を常に得るのは難しいため昔から全く変わらない業務プロセスな会社もあるでしょう。
経理アウトソーシングの導入時には、業務プロセスの改善も同時に行うことが可能です。生産性を上げることは両社ともにメリットがあることだからです。
その際に、他社の事例や最新ノウハウを提供をしてもらうことができます。導入後も経理をアウトソーシングで受けている会社だからこそ知っているノウハウを提供してくれます。
11.会計規則や法令の改正も自主的に情報収集しなくてもよくなる
会計規則や経理に関する法令は改正されることも多いです。そのたびに今のままのやり方で問題はないのか、変更するなら何をする必要があるのか、など情報を収集して対応するのはかなりの手間がかかります。
手間をかけて調べた結果、専門家に依頼することになるケースも多いです。アウトソーシング会社によりますが、どのような対応が必要なのかの経理の専門家としてアドバイスもしてくれます。必要に応じてシステム導入の代行も可能なので、法令の改正が起きても安心することができます。
経理をアウトソーシングする時に気をつけるべき4つのポイント
ここまで、経理をアウトソーシングするメリットを上げてきましたが、同時に気を付けるべきポイントもあります。
しかし、事前にわかっていれば解決できるポイントでもあるので、失敗しないためにもしっかりとここを理解するようにしましょう。
気を付けるべきポイントはこの4つです。
- 事業規模によっては割高になる
- セキュリティ上のリスク
- 社内でのノウハウがたまらない
- 経営状況を把握できない
1.事業規模によっては割高になる
メリットとしてコストを減らすことができると記載しましたが、場合によっては割高になってしまうケースもあります。
例えば、起業してばかりの会社で仕訳、請求、支払いなどの件数が少ないケースです。全ての処理を数時間で完了する場合はピンポイントでアルバイトを雇用する方が安くなることがあります。
もちろん、その場合には採用や教育のプロセスが必要ですが、それはアウトソーシングする場合でも会社の選定や打ち合わせがあるため変わりません。
業務の量が多いとアウトソーシング会社との打ち合わせをした方が後々も楽ですが、業務量が少ない場合は仮に退職になってもリスクは大きくはないので、アルバイトの方が楽なこともあります。
自身が解決したい事と、コストが見合っているのか把握したうえでアウトソーシングするのかを検討しましょう。
3.セキュリティ上のリスク
経理をアウトソーシングすると、情報を外部に渡すことになります。そうすると渡した領収書がなくなってしまったり、情報が漏れてしまったなどのリスクも上がってしまいます。
依頼するときには、どのような管理を行っているのかを確認するようにしましょう。
3.社内でのノウハウがたまらない
アウトソーシングしていると自社の社員がその業務に手を動かすことはないので、ノウハウががたまらないという状況が起こります。
しかし、システムのノウハウや分析の共有は可能なので、依頼内容によりますが「実務レベルのノウハウがたまらない」が正しいです。社員に実務をしっかり覚えてほしい場合などはアウトソーシングするべきではありません。
これは、アウトソーシングすることの目的をはっきりすることで解決しましょう。財務分析や資金調達に時間を割きたい、経理を丸ごと任せてしまいたい場合などはアウトソーシングが有効です。また、実務のノウハウをためる必要があるのかどうかを考えてみることも大切です。
4.経営状況を把握できない
アウトソーシングにすると経営数字の把握にラグが生じることがあります。アウトソーシングでは領収書を送ってから作業を始めるため、その分作業が遅れることになります。タイムリーに経営数字を把握したい人には遅いと感じるかもしれません。
また、月に一度は経営数字を確認したいという人でも、自分が思っている以上に上がってくるのが遅いと感じるかもしれません。しかし、資料の受け渡しや納品物の納期のスケジュールが明確に決まっており、管理体制ができているアウトソーシング会社であれば、人を雇用しているのと変わらないスピードで経営数字を把握することができます。
人によってはもって早く把握したいこともあるでしょう。その場合でも導入時の打ち合わせで可能などうか相談しておくことで、対応してもらえるのかどうか明確にしておきましょう。
まとめ
- アウトソーシングは中小企業のような人材リソースが割きづらい場合は非常に有効
- 「コスト削減」「生産性向上」「パフォーマンスの安定」の一石三鳥
- 注意すべき点もあるが事前に把握することで解決可能
アウトソーシングのメリットと注意すべき点をずらっと並べましたが、最も大切なことは導入前にしっかりと自社の問題を把握し、解決できるのかどうかを明確にすることです。
また、導入後の準備期間をしっかり取っている会社は、依頼主の会社に合わせたサービス提供ができる場合が多いです。
これらを参考にして、自身の会社に合ったアウトソーシング会社を見つけてください!