時折新聞やニュースで話題となる、巨額の不正事件。金銭的なダメージはもちろん、企業の社会的信用も失われます。
先日発覚したのは、宮城県栗原市にあるJA新みやぎの子会社「新みやぎサービス」の社員による不正経理。その額は約2億円。今後増える可能性もあるそう。
しかし不正経理は他人事ではないかもしれません。あなたの会社の管理体制は徹底されていますか。
今回はこの不正経理事件を振り返ります。
中古車取引を装う不正経理
「新みやぎサービス」は葬祭事業や自動車事業などを行うJAの子会社。今回不正が発覚したのは、自動車事業の中古車取引によるものです。
中古車販売業者などから軽トラックや乗用車を仕入れ組合員らに販売する業務の中で、中古車を仕入れたかのように見せかけ、販売業者3社の請求書を偽造して送金していました。
不正経理を主導していたのは管理職の50代男性。
男性は2011年4月以降、約120件の不正経理を繰り返し、合計約2億円を3社に流出させたことを認めているそうですが、「横領ではない」と話しているのだとか。
外部流出した後の資金の流れや動機などは明らかになっていません。
なぜ11年以上も気づかなかったのか
新みやぎサービスでは通常、車を含む全ての仕入れは月ごとに取引をまとめ、別の部署が一括して業者に代金を支払っているそう。
しかし男性は上司の決裁印と偽造請求書だけで、経理担当の50代女性に指示し個別に送金させていました。女性は不審を感じながらも指示に従っていたのだとか。
しかし先述のとおり、通常は取引をまとめて別の部署が代金を支払っていたにも関わらず、11年以上も気づかなかったのか。
それは特例を悪用していたから。
中古車取引には、中古車オークションなどで迅速な支払いが必要な場合があり、その特例を悪用したとみられています。
また必要な名義も、過去に車を購入した顧客らのものを無断で使用し取引があったように装い、架空の売り上げを未収金とした上で、入金を装って未収金の付け替えを行うなどの経理操作もしていました。
こういった手口により、年2回行われる内部監査やJAによる監査もくぐりぬけ、11年以上発覚しなかったようです。
しかし前身の会社から新みやぎサービスが設立された今年4月の事務検証で、未収金が過大だと指摘され、精査した結果流出が判明しました。
全容解明に向け調査
この事件は、外部流出した後の資金の流れや動機などは明らかになっておらず、また男性が認めた以外にも不正経理が疑われる取引があるのだそう。
今後不正金額が増える可能性もあります。
まとめ
多くの企業では不正防止のための内部統制システムを構築していることでしょう。しかし今回のように特例やシステムの穴をくぐりぬける方法を利用し、不正を行うケースも少なくありません。
不正経理が発生すれば、企業にとって大きなダメージです。
不正の原因は管理の甘い社内体制などにあります。まずは自社のシステム・社員意識をチェックし、不正が行われやすいと判断された場合は早急な改善が必要です。
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