【企業による先導的人材投資に係る税制措置とは】新しいスキルを持つ人材を育成しよう!

2023年度(令和5年度)の税制改正では、法人関連項目を含め、個人の資産運用、相続税、贈与税の見直し、インボイス制度、エコカー減税の延長など、幅広い分野にわたる変更が盛り込まれました。

そのひとつが【企業による先導的人材投資を促すための税制措置】。

これは、企業が新しいスキルを持つ人材を育成するための投資に対する税金の優遇措置です。

今回は企業による先導的人材投資に係る税制措置について、わかりやすく解説します。

企業による先導的人材投資を促すための税制措置とは

企業による先導的人材投資を促すための税制措置とは、企業が新しいスキルを持つ人材を育成するための投資に対する税金の優遇措置。

つまり、企業が「新しいスキルを持つ人材を育成するためにかかる費用」に対してかかる税金を優遇する措置です。

企業が先進的なスキルを持つ人材を、積極的に育成することを奨励しています。

3つの措置

企業の成長を先導する人材の創出を後押しするため、次の3つの措置が講じられます。

  • 学校教育における企業先導人材の育成
  • 先導的研究開発人材の活用・育成
  • デジタル推進人材の育成

学校教育における企業先導人材の育成

企業が、大学や高等専門学校などの教育機関の設立に対し寄付する費用は、事前の審査なしで経費として全額計上できるようになります。

企業は迅速に寄付を行うことができるようになるので、教育機関の設立や運営をスムーズに進めることができるようになるでしょう。

財務省の「令和5年度税制改正の大綱の概要」には、次のように書かれています。

法人が大学、高等専門学校又は一定の専門学校を設置する学校法人の設立を目的とする法人に対して支出する寄附金であって、その設立のための費用に充てられるものを指定寄附金とする。

財務省「令和5年度税制改正の大綱の概要」

先導的研究開発人材の活用・育成

企業が、博士号を取得した人材や、経験豊富な研究者を雇用することに対し、研究開発税制において優遇を受けられるようになります。

具体的には、これらの人材の人件費を対象とする新たな類型をオープンイノベーション型に設け、一般の試験研究費よりも高い税額控除率(20%)と、別に計上される税額控除上限(10%)の適用が可能に。

これによって質の高い研究開発を促し、国際競争に資するハイレベルでオープンなイノベーションを促進することができるでしょう。

財務省の「令和5年度税制改正の大綱の概要」には、次のように書かれています。

特別試験研究費の対象費用に、博士号取得者又は一定の研究業務の経験を有する者に対する人件費を追加し、税額控除率を20%とする。

財務省「令和5年度税制改正の大綱の概要」

デジタル推進人材の育成

企業がデジタル変革(DX)を成功させるために不可欠な、デジタルスキルを持つ人材を育成・確保することを支援します。

DX投資促進税制を通じ、人材育成に関する活動が、税制上の優遇を受けられるように。

これによって企業は、デジタル分野での人材育成を、より積極的に進めることができるようになるでしょう。

まとめ

2023年度(令和5年度)の税制改正では、今回ご紹介した企業による先導的人材投資に係る税制措置、そして以前ご紹介した「研究開発税制の見直し」「オープンイノベーション促進税制の見直し」の、3つの法人課税の見直しが行われました。

企業による先導的人材投資に係る税制措置とは、読んで字のごとく、企業が新しいスキルを持つ人材を育成するための税制措置。

企業が教育や研究開発、デジタル化を推進するために行う投資が、税金面で支援されるようになっています。優秀な人材を育成するために、この税制優遇を活用してはいかがですか。