経理のアウトソーシングはどこまで任せることができるのだろうか?そんな疑問をもったことはありませんか?
経理のアウトソーシングが広く知られてきたので多くの人が感じている疑問だと思います。そこでこの記事ではどこまで任せられるのかを大きな範囲から細かいところまで解説します。
まず大きな範囲では以下の3つの範囲に分けられます。この3つを解説した後に、業務と作業ではどこまでアウトソーシングできるのかを説明します。
- 部署のアウトソーシング
- 業務のアウトソーシング
- 作業のアウトソーシング
部署のアウトソーシング
経理部門を丸々アウトソーシングすることも可能です。この形態を取ることで会社内に経理部を持つ必要がなくなり、少人数での運営が可能になります。以下のような組織で取られていることが多いです。
- 社長が一人で経営しているなど少数精鋭の会社
- 店舗型やネット型で事務所を持たない会社
- グループ会社を持つ会社
経理関連の書類やメールの受取先をアウトソーシング会社にすることで、必要書類に分けて送るといっためんどうな業務も丸々無くすことが可能です。
また、グループ会社を持つ場合には、各グループ会社の経理業務を切り出し、アウトソーシング会社に集約するといったことも有効です。会計ルールが統一され、納期も守られるため親会社の管理が楽になります。
この部署のアウトソーシングは、するべき業務により集中できるのが最大のメリットです。
業務のアウトソーシング
次に業務単位でのアウトソーシングです。例えば請求業務の一連の業務を全て任せる。日々の仕訳〜月次決算書までの会計処理を任せる。といったものです。以下のような場合に活用するケースがあります。
- 給与計算をアウトソーシングしてトラブルを防ぐ
- ミスが許されない支払業務を管理体制が整っているアウトソーシング会社に任せる
- 記帳が莫大で人員を割くことができない
人員不足の問題解決や、ミスやトラブルのリスクを抑える目的として有効です。しかし、この業務単位でのアウトソーシングでは社内に専任の経理担当者が必要になってきます。完全な丸投げではトラブルに繋がる恐れもあるので、アウトソーシング会社の窓口担当者と社内の担当者が必要に応じて連絡を取ることが大切です。
この業務単位でのアウトソーシングが最も依頼する企業が多く、イメージもしやすいのではないでしょうか?会社の悩みにピンポイントで応えられるのがメリットであり特徴です。
作業のアウトソーシング
最後の作業のアウトソーシングは業務単位でのアウトソーシングをさらに細かく分けた作業だけをアウトソーシングするといったものです。例えば、月次決算などの報告と集計はいらないけど仕訳だけを任せる。年末調整だけを任せる。などです。
- 残業の原因である作業だけを切り取って任せる
- 月次決算など財務分析は自分でするが入力作業だけ任せる
- 入退社の労務処理などスポットで発生する業務を任せる
この作業単位でのアウトソーシングは、それだけで依頼することもありますが、業務単位でのアウトソーシングにプラスで任せるケースもあります。例えば、会計業務に加えて入退社の労務処理や年末調整など、たまにある業務もアウトソーシングするといったものです。
めんどうに感じていた作業をなくしたり、社内の残業をなくすための働き方改革にも活用できるので、有効活用できる場面は多いでしょう。
任せられる業務と作業の範囲
ではここから業務と作業単位でどこまでアウトソーシングすることができるのかを詳しく説明していきます。ただ、細かくしすぎるときりがなくなってしまうので、今回は依頼を検討することが多い業務に限ることにします。
会計入力
日々の記帳
主に記帳代行と言われているものです。日々の取引内容を仕訳し会計ソフトに入力します。依頼者はアウトソーシング会社に記帳に必要な情報を郵送したりデータで共有するのが一般的です。また、自社が会計ソフトを保有していなくても、アウトソーシング会社が保有しているソフトを無料で使用することができます。
試算表の作成と報告
月次の試算表の作成です。事前の打ち合わせで設定した納期に完了するため、計画が立てやすいです。また部門別の売上計上なども希望に合わせてすることが可能です。
年次決算
顧問税理士と連携して行うことができるので、税理士の変更は不要です。
その他に任せることができること(一例)
- 固定資産台帳の管理
- 会計帳簿の管理、チェック
- 書類のファイリング、スキャン
- 保管義務のある書類の保管
- 支払調書の作成
支払管理
支払一覧表の作成
支払先が毎月変わる、締め払い日が複数あるなどの場合でも対応できます。会計計上用に科目別一覧の作成も可能です。
ウェブバンクに支払いデータを登録
お持ちのウェブバンクに支払データを登録します。ご希望によって承認をすることもできますが、万が一のことも考えて、最終確認と承認は依頼者がすることをおすすめします。
その他に任せることができること(一例)
- 発注書、納品書との突合
- 発注担当者への承認確認
- 請求書の遅延や漏れのチェック
- 急な支払対応(状況による)
請求管理
請求書の作成と送付
請求書作成の元になる書類やデータを揃えて送ることで請求書の作成と送付まで行います。請求システムを利用されている場合は入力も可能です。請求後の回収状況も管理し、入金が遅れているところがあった場合は、依頼主に連絡したり、催促の連絡を行います。
未収売掛金の管理
回収予定表の作成や資金繰り表の作成も可能です。
その他に任せることができること(一例)
専用の請求書での作成
回収時の歩引き計算
回収時の差異の問い合わせ
給与計算
給与額を計算し明細書の作成
勤怠データや労務ルールから給与額を計算します。総支払額から社会保険料、税金の控除まで任せることができます。明細書は希望に合わせて紙、電子、従業員ごとに送付先の指定まで対応できます。また、賞与や歩合など変動する給与の計算も可能です。
ウェブバンクに支給登録
支払業務同様に支給データをウェブバンクに登録します。こちらも最終確認を踏まえて承認は依頼者がすることをおすすめしています。
年末調整
控除申告書の送付から内容の確認、源泉徴収、支払報告書、法定調書の作成と提出まで任せることができます。
その他に任せることができること(一例)
- 賃金台帳の作成
- 源泉税納付書への記載
- マイナンバーの保管管理
- 実働時間や遅刻早退の集計、勤怠表との突合
- 住民税更新の特別調書
- 入退社時に発生する労務処理
任せられる範囲で気を付けること
ここまで経理アウトソーシングでどこまで出来るのかを説明してきましたが、依頼する会社によって対応できる範囲の大きく差があるので注意してください。今回はあくまで大阪で経理アウトソーシングを26年している会社であるDFEができることを一例として説明しました。事前に自社が任せたいことをアウトソーシングできるのかの確認は必ず行うようにしましょう。
パッケージ型かオーダーメイド型か
もうひとつ気を付けるべき点があります。それは依頼するのはパッケージされたアウトソーシングサービスなのか、顧客に合わせたアウトソーシングを提供するオーダーメイド型なのかです。
パッケージ商品は規格化されたものなので比較的安く依頼することが出来ますが、規格外の対応が出来ないことがあります。例えば、使用する会計ソフトが決まっている。共有はデータで並び順やファイル名に指定がある。などです。
一方でオーダーメイド型はしっかりとヒアリングを行い、ウェブバンクの作成など効率化できるところはしっかりとアドバイスをしたうえで、依頼者の業態、規模、ニーズに合わせたアウトソーシングを提供します。
「自社の経理は特殊なところがある」「なるべく今の業務フローを変えたくない」と考えていればオーダーメイド型のアウトソーシングを検討してみましょう。
経理アウトソーシングのメリットとデメリット
そもそも経理アウトソーシングにはどういったメリットがあり、導入するにあたって気を付けることは何か。ここをしっかりと抑えたうえで検討することも大切です。これについては過去の記事でまとめた物がありますので、こちらをご覧ください。
経理アウトソーシングの11のメリットと4つの気を付けるポイント
まとめ
- 経理アウトソーシングでは作業単位から部署まるごとまで任せることができる
- 通常の経理業務はほとんどアウトソーシングすることができる
- パッケージ型のアウトソーシングはコストを抑えられるが制限がある
- オーダーメイド型ではニーズに合わせたアウトソーシングが可能
「自社はアウトソーシングなんてできない」と考えていた経営者の会社が問題なくアウトソーシングでき、経営改善ができたケースはたくさんあります。オーダーメイド型を提供している会社に相談して、パッケージ型で対応可能かオーダーメイド型でカスタマイズしてアウトソーシングするのか考えてみましょう。
DFE ではオーダーメイド型とパッケージ型の両方を用意、パッケージ型に必要なものだけオプションで加えるセミオーダー型をしている顧客もあります。