労働者が退職する理由はさまざまですが、大きく「自己都合退職」と「会社都合退職」に分けられます。
文字通り、「自己都合退職」は、転職や結婚、親の介護などによって”労働者側”の都合で退職すること。
一方で「会社都合退職」は、解雇や退職勧奨などの”会社側”の都合で、労働者との雇用契約を終了することです。
経営不振や人件費削減、不必要な従業員を解雇するなど、経営の面からやむを得ず会社都合で退職をさせることもあるでしょう。ただ会社都合退職は、会社側に大きなデメリットが生じる可能性があります。たとえば一部の助成金の対象外となることも。
今回は、会社都合退職について解説します。
会社都合退職とは、会社側の都合によって、労働者との雇用契約を終了すること。
主なパターンは次のようなものです。
- 倒産、破産
- 業績悪化によるリストラ
- 自己都合退職を促す退職勧奨
従業員側に退職するかどうかの選択の自由があるのが退職勧奨です。
退職勧奨は原則「会社都合退職」となります。
会社都合退職は、会社側にデメリットが生じる場合がありますので注意が必要です。デメリットについては後ほど詳しく説明します。
退職のほとんどは「自己都合退職」に該当します。しかし「自己都合退職」で退職しても、後から退職者の側の手続きによって、「会社都合退職」に変更される場合があります。
たとえば次のような場合は、「自己都合退職」が後から「会社都合退職」となる可能性のある退職理由です。
- いじめやハラスメントによる退職
- 過度な残業による退職
- 会社の3分の1を超える離職
- 会社の法令違反
- 給与の未払いや大幅な減額
このような場合、ハローワークが「会社都合退職」と認定・判断すれば変更が認められることがあります。
経営するうえで、やむを得ず従業員を解雇しなければならない場面はあるかと思います。しかし会社都合退職は、会社にとって大きなリスクとなることも。
どんなデメリットがあるのかをしっかり理解しておきましょう。主なデメリットは次のとおりです。
- 助成金が受給できない
- 賠償金を請求される可能性も
- 解雇予告手当金を支払う
「キャリアアップ助成金」や「トライアル雇用助成金」などといった雇用関連の助成金の場合、会社都合の退職者を出すと助成金が受給できないことが多いです。
ただし雇用関連の助成金ほとんどが、会社都合退職者を計画提出日や措置実施日の6カ月前~支給申請日に出してしまった場合に受給できないため、タイミングをずらせば申請もできるように。
例外的に、事業の縮小を余儀なくされた会社を支援する「雇用調整助成金」などは、会社都合退職があっても受給可能。ただし助成率は下がります。
退職を強要することは、違法です。退職強要により受けた精神的苦痛に対し、慰謝料を請求されることもあります。
円満退社という言葉がありますが、会社側・従業員側ともに、揉め事がない状態で労働契約を解除することが望ましいです。不満を持って逆恨みをされないように注意しましょう。
会社が労働者を解雇する際には、少なくとも30日前に予告をする必要があります。もし予告を行わずに解雇するならば、解雇までの残日数に応じた金額の解雇予告手当を支給しなければなりません。
従業員が納得しないまま強引に解雇を行うと、弁護士を通じて賠償金を請求される危険性があります。
助成金を受給するため、「会社都合退職」であった場合にも「自己都合退職」に変更することは絶対にダメです。
不正受給が発覚すると、受給額以上の金額を返還しなければならず、そのほか事業所名・事業主名などの公表や、以後5年間にわたる助成金の不支給など、厳しいペナルティが科せられます。
不正受給は絶対にやめましょう。
退職は、ほどんどの場合は「自己都合退職」です。
しかし倒産や破産、業績悪化によるリストラ、自己都合退職を促す退職勧奨といった理由で「会社都合退職」がおこなわれる可能性があります。
雇用関連の助成金を受給するには、「会社都合退職」は避けたいところ。できるだけ退職者を出さない方法を模索してください。
「会社都合退職」を出さないためにも、業務の一部をアウトソーシングするのもひとつの手段です。経理などの代行を検討中の方はDFEにお問い合わせください。