【国税庁】令和7年分「年末調整がよくわかるページ」開設

  • 2025年10月26日
  • 労務
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「今年もいよいよ年の瀬が近づいてきましたね。社員の皆さんにとって年末の恒例行事といえば、『年末調整』。

国税庁はこのほど「年末調整がよくわかるページ(令和7年分)」を開設しました。

このページは、年末調整を行う経理・総務担当者はもちろん、実際に申告書を提出する社員の皆さんにとっても「今年何が変わったのか」「何を準備すればいいのか」が分かる便利なサイトです。

このサイトでは、「年末調整控除申告書作成用ツール」や動画解説も公開されています。初めて対応する方や申告書の書き方に不安がある方は、こちらを活用すると便利です。

今回は、国税庁の特設ページをもとに、令和7年分の年末調整で押さえておきたいポイントを整理します。

令和7年分で変わる主なポイント

今年は、いくつかの制度見直しが予定・実施されています。経理担当として押さえておきたい変更点を簡潔に紹介します。

(1)基礎控除・給与所得控除の見直し

所得税の基礎控除額が、合計所得金額に応じて段階的に変わる仕組みに見直され、給与所得控除の最低保障額が引き上げられるなど、計算に影響する変更もあります。

昨年と同じ控除額を使うと誤りになるケースもあるため、計算ロジックの更新が必要です。

(2)扶養親族等の所得要件改正・特定親族特別控除の創設

扶養控除等の対象となる親族の所得要件が引き上げられました。

さらに、19歳以上23歳未満で一定の所得範囲内にある親族を対象に「特定親族特別控除」が新設されています。

該当する社員がいる場合は、新しい申告書様式を使う必要があります。

(3)通勤手当の非課税限度額の改正動向

国税庁は、「通勤手当に係る非課税限度額が改正される場合には、年末調整での対応が必要になることがある」としています。

現時点では確定ではありませんが、動向を注視し、改正があった際にスムーズに対応できるよう準備しておきましょう。

経理担当が取るべき対応ステップ

経理担当者は、社内の流れを想定しながら、4つのステップで整理しましょう。

(1)スケジュールの確定と社員への案内

提出書類の締切日や対象者を早めに周知しましょう。国税庁の「年末調整チェック表」も活用できます。

(2)新様式・新控除への対応

今年は複数の申告書が改訂されています。旧様式のまま配布しないよう注意が必要です。給与計算ソフトを利用している場合は、アップデートの確認も忘れずに。

(3)社員への説明

改正点をわかりやすく説明することで、提出ミスや問い合わせを減らせます。特に控除制度の変更や扶養要件の改正については、図解付きで案内すると効果的です。

(4)年末調整後の確認

計算後は、過不足税額の精算結果を再確認。控除適用漏れや申告書の不備がないかチェックリストで点検すると安心です。

よくあるミス・注意点

年末調整の現場では、毎年似たようなミスが発生します。今年は特に次の点に注意しましょう。

  • 「昨年と同じ控除額」で処理してしまう
  • 旧様式を使用している
  • 扶養親族の所得要件を誤認している
  • 通勤手当の支給額が非課税枠を超えている
  • 申告書の提出漏れ・誤記入がある

これらは事前の確認と社員への丁寧な案内で防げます。特に制度変更が多い年は、少し早めのスケジュールで動くことが重要です。

まとめ

今年の変更点は?
A. 基礎控除や給与所得控除の仕組みが見直されている
扶養控除の変更点は?
A. 所得要件が引き上げられ、「特定親族特別控除」が新設
 去年の申告書は使える?
A. 使えない。今年の新様式を必ず使用すること

令和7年分の年末調整は、基礎控除や扶養要件の見直しなど、例年以上に確認事項が多くなっています。

国税庁の「年末調整がよくわかるページ」は、こうした改正点を分かりやすくまとめた便利なサイトです。上手に活用し、社員の皆さんが安心して年末を迎えられるよう、経理・総務担当一丸となってスムーズな手続きを進めていきましょう。


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