一般的に「属人化しやすい」と言われる経理業務。
属人化とは、業務の内容や知識などを、特定の担当者しか把握していない状況。
経理業務が属人化してしまうと多くのリスクが伴い、会社として大きな不利益を被りますので、しっかり改善しなければなりません。
今回は経理業務の属人化リスクや属人化の解消法などを解説します。
先述のとおり、属人化とは業務の内容や知識などを、特定の担当者しか把握していない状況をいいます。
もちろん「〇〇さんしかできない」「〇〇さんがいるから安心」と、優秀な担当者がいることは悪いことではありません。
しかし、もしその担当者が退職をすることになってしまったら…。あなたの会社は、知識やスキルをしっかり引き継ぐことができる状態でしょうか。
業務が属人化してしまうと、大きな損害につながることも。
経理業務は知識や経験が必要なため、誰にでもできる仕事ではありません。属人化しないよう、予め対策しておくことは必要不可欠です。
経理業務が属人化しやすいと言われる理由は主に次の3つ。
- ベテラン従業員に知識が集中している
- 人手不足・多忙
- マニュアル化されていない
経理業務歴が長いベテラン従業員が、知識を抱え込んでしまうことがよくあります。
ベテラン担当者は「自分にしかできない」と考えてしまい、なかなか業務が引き継がれないのです。やり方が担当者の”自己流”になってしまっていることも珍しくありません。
知識や経験が少ない従業員は、ベテラン担当者の業務から遠ざかってしまうことも多いでしょう。そのため結果的にベテラン担当者による業務の属人化が進んでしまいます。
またベテラン社員が自分の地位をキープすることを目的に、あえて属人化させている場合もあるので注意が必要です。
経理は専門性が高い業務のため、人手不足は深刻です。
経理担当者が1人または数人しかいない場合、1つの業務が終わったらすぐに次の業務に着手するという状況になりがち。
人手不足であるがゆえに自分が行う業務以外の内容はなかなか把握できず、ほかの人と共有したくても時間的な余裕が取れません。
人手不足や多忙は、業務が属人化する原因のひとつです。
マニュアルがあれば、ルールを標準化することができます。逆にマニュアルがなければ、口頭で引き継いだ人しか業務を進めることができません。
しかしマニュアル作成は、時間的な余裕がなければ後回しになってしまうでしょう。さらに最新情報に更新する必要もあります。
マニュアルの整備は重要であり必要なことが理解できていても、多忙な業務の傍らで行うことが難しく、なかなかマニュアル化されないというケースも多いのが現状です。
経理業務が属人化してしまうと、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。ここからは経理業務の属人化した場合の主な3つのリスクを解説します。
- 業務が継続できなくなる
- 業務改善がしにくい
- 不正が起こりやすい
担当者による属人化が続くと、その従業員が突然休職や離職をしてしまった場合、別の従業員では対応できないケースも少なくありません。
別の従業員がゼロから知識を積み重ねていくには時間とコストがかかるため、業務が継続できなくなる恐れがあります。
経理業務は期限がある仕事ばかり。属人化し業務が滞ると、会社の存続をも脅かします。
業務が属人化していると、業務フローなどを把握しているのが特定の担当者のみとなるため、何を改善するべきか特定できません。
システム導入などほかの最善策があったとしても、担当者が「自己流のやり方がベストだ」と思っている場合、誰も業務改善の提案ができないのです。
属人化は非効率な業務を生むことにもなります。
属人化が進むと、特定の担当者以外からは業務内容が見えなくなり、不正が起こりやすい状況も生まれます。最悪の場合、多額の横領事件につながるリスクも。
不正経理事件は、決して他人事ではありません。これまでに当サイトで紹介した不正経理事件についての記事もご覧ください。
属人化にはどのような対策をとればいいのでしょうか。経理業務の属人化を防ぐ主な4つの解決策を紹介します。
- マニュアルを作成する
- ワークフローを可視化する
- 業務の分業・ローテーションを行う
- 経理のアウトソーシングサービスを利用する
まずはマニュアルを作成すること。
しかしマニュアル作成は時間も手間もかかり難しい作業です。最初からすべてを網羅したマニュアルを目指さず、少しずつブラッシュアップしていき完成度を上げていきましょう。またつくりっぱなしにせず、最新情報のアップデートしていくことが大切です。
そしてマニュアルを更新したらメンバーと情報を共有すること。こういったルールを定着させることで、属人化を解消するマニュアルがつくりあげられていきます。
業務フローやノウハウが蓄積されたマニュアルは、いずれ必ず会社の資産となるでしょう。
ワークフローを可視化するのも重要な解決策。
誰が・何を・どれくらいの時間で業務を行っているのか、ワークフローを可視化すれば、属人化を防ぐことができるうえ、業務の無駄を改善することもできるでしょう。
ひとつの業務に対し2名以上で分業あるいはローテーションを行うことで、1人に何かあっても業務を継続することが可能です。
また違う人が業務をすることで気づくこともあるでしょう。業務の分業・ローテーションは業務改善にもつながります。
経理を1人もしくは少人数で行っている会社も多いでしょう。その場合、分業やローテーションをすることができません。またワークフローを可視化しても誰もチェックしない…ということもあるでしょう。
そんなときに有効なのが、経理業務のアウトソーシングです。経理代行は経理業務の一部または全部を依頼することができるので、確実に業務の属人化を防止することが可能。
そのほかにも経理業務のアウトソーシングには多くのメリットがあり、品質向上や業績アップも見込めます。
経理アウトソーシングのメリットやデメリットはこちらの記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
- 経理業務の属人化はリスクが多くとても危険
- 属人化を防ぐためマニュアルを作成
- 属人化対策にアウトソーシングは有効
経理業務は属人化しやすく、属人化すると大きな損害につながることも。企業の存続にもかかわることです。絶対に放っておいてはいけません。
とはいえ経理業務は知識や経験が必要なため、誰にでもできる仕事ではありません。また、あまり人員を割くことができないという企業もあるでしょう。
そんなときは『経理アウトソーシング』の活用がおすすめです。すべてを依頼することもできますが、会社の状況にあわせて依頼内容をカスタマイズすることも可能。属人化しないよう、予め対策をとっておきましょう。