【不正経理事件簿】病院元職員が1億円以上横領し、アイドルに課金

今回取り上げる巨額横領事件の被害額は1億5000万円以上。その使い道は「アイドルの推し活」だというから驚きです。

億を超える横領額に「なぜ周りは気づかなかったのか」と感じる人もいると思います。

しかし中小企業や零細企業においては、経理のチェック体制が甘く、気づいた時には億を超える横領事件に発展していることも少なくありません。

あなたの会社は、本当に大丈夫ですか?

巨額横領事件の経緯

三重県南伊勢町の町立病院に勤務していた元職員の男(38)は、今年6月までの4年間に、病院の口座に入金するために預かっていた診療費などを複数回にわたって着服。

被害総額は約1億5000万円以上に上るといいます。

病院が昨年度の決算書類を確認したところ、不審な点を複数発見。最初は「1桁間違えて支払いをしてしまったんじゃないか」「大きい未収金を計上し忘れているんじゃないか」などと、誰も男を疑っていなかったそう。

その後会計を担当するこの男に聞くと、専門知識を交えて説明。しかしやはり辻褄が合わず追及したところ、男は着服を認めました。

さらに病院に勤務する前に勤めていた上下水道課でも、水道の修繕業者からの請求書を改ざんするなどして計約1250万円を着服した疑いも。

アイドルの追っかけのため、5年にも及ぶ横領生活をしていた男は、横領した金を「アイドルのグッズやCD、ライブのための交通費や宿泊代、またアイドルとビデオ通話できるアプリに課金した」などと容疑を認めているといいます。

なぜ病院や上下水道課は気づかなかったのか

億を超える巨額の横領に、なぜ誰も気づかなかったのでしょうか。

まず男はおとなしい性格でいたって真面目な職員。横領していても突然身の回りのモノが新しくなるなどの変化もありませんでした。アイドル好きについても、職場では公言していなかったようです。そのため誰も異変には気づきませんでした。

また男は、会計に一番詳しいエキスパートで、導入している電子会計システムを完璧に使いこなせる数少ない職員。専門知識もあり優秀な職員だったため、誰もが完全に信頼していたのだそう。

さらに報道によりますと、病院は病床数を減らして経営のスリム化を図っていたそう。病院も上下水道課も人件費削減のため、少ない人数や甘いチェック体制で運営していた可能性があります。

1人もしくは少人数での経理は、隠蔽工作も容易になりがちです。昨今では各企業でコンプライアンス体制の強化を行っていますが、それにもかかわらずコンプライアンス違反が起き横領事件に発展することも。社内体制の構築だけでなく、場合によっては社外に依頼することも有効な手段です。

まとめ

今回の巨額横領事件は、男が会計に一番詳しいエキスパートであり、周囲が男に絶大な信頼をしていたことが原因でもあります。

導入している電子会計システムを完璧に使いこなせる人を雇用することは容易ではありません。

雇用による経理不正や横領を防ぐために、経理のプロフェッショナル集団、DFEのバックオフィスアウトソーシングへの切り替えも検討してみてはいかがでしょうか。