日本において三大国家資格と言われているのが、医師・弁護士・公認会計士ですが、これら士業にも懲戒処分が科せられる場合があります。
組織内でルール違反などを犯した場合に科せられる制裁が「懲戒処分」。
今回は公認会計士の懲戒処分について取り上げます。また公認会計士の仕事内容についても簡単に紹介します。
公認会計士とは
「公認会計士」という国家資格があることが知っていても、何をする仕事なのか、税理士とは何が違うのか理解していない人も多いのではないでしょうか。
公認会計士と税理士は、共に会計業務に携わる仕事。しかし似て非なるものです。
公認会計士
公認会計士の独占業務は『財務諸表監査』。
企業が作成した財務諸表が正しくつくられているかを、第三者の立場から評価(監査)する業務です。
その他にも、会計や税務、コンサルティングなどの業務も行うことができますが、メインの業務は『監査』。
財務諸表の信頼性を保証するのが、公認会計士のメインの業務です。
公認会計士による「財務諸表監査」が義務付けられているのは、上場会社や大企業。中小企業などは、財務諸表監査を受ける義務はありません。
税理士
税理士の独占業務は『税務業務』。
企業や個人事業主の税務処理や納税・節税に関する業務を行っています。
税金は企業規模の大小に関わらず申告義務があるため、税理士に依頼をすることが多いです。
なお、公認会計士の資格があれば税理士資格も得ることができますが、その反対はありません。
監査法人とは
監査法人とは公認会計士法に基づき、会計監査を目的として設立される法人。設立には社員となる公認会計士が5人以上必要です。
監査法人は、大手監査法人、準大手監査法人、中小監査法人に分けられることが多く、なかでも大手監査法事は4大監査法人(BIG4)と呼ばれています。4大監査法人は次の4つ。
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- 有限責任あずさ監査法人
- PwCあらた有限責任監査法人
4大監査法人は、世界的な会計事務所と提携しているのが特徴です。
公認会計士の懲戒処分について
公認会計士の監査によって不正が発覚することがあります。一方で、公認会計士が不正を働くことも。
虚偽や脱漏のある財務書類を正確なものとして証明した場合や公認会計士法に違反した場合など、金融庁長官は公認会計士又は監査法人について「戒告」「2年以内の業務の停止」「登録の抹消(監査法人の場合は解散)」の処分を行い、さらに審判手続を経た上で課徴金納付命令を出すこともあります。
懲戒処分等の調査審議は、金融庁長官の指示により聴聞を行った後に、審査会の意見を聞くこととされています。
金融庁のホームページでは、公認会計士の懲戒処分をその都度公表。また日本公認会計士協会でも会員に対する懲戒処分を公表しています。
【金融庁】公認会計士の懲戒処分について
ここで2022年4月20日付、金融庁ホームページで公表された事案を紹介します。
金融庁は、公認会計士1名に対する懲戒処分を行いました。懲戒処分の内容は、業務停止1月です。
「当該期間中、上記の公認会計士は、平成27年4月2日に他の金融機関から借入れた1,200万円を、平成28年4月21日に山梨県民信組で借り換えた(令和元年9月に当該借入金は完済)。
以上のことから、上記の公認会計士は、公認会計士法第24条第1項の規定に違反し、平成29年3月期監査から平成31年3月期監査まで、監査先である山梨県民信組との間で著しい利害関係を有していたにもかかわらず財務書類の監査証明を行ったほか、同法第25条第2項の規定に違反し、監査報告書に利害関係の明示を怠った。」
つまりこの公認会計士は、他の金融機関からの借入金を監査関与先で借り換え懲戒処分となりました。
まとめ
- 公認会計士の独占業務は、財務諸表監査
- 税理士の独占業務は、税務業務
- 公認会計士の懲戒処分は金融庁のHPで好評される
監査をする立場である公認会計士が不正をした場合、戒告や業務の停止、時には登録の抹消が科せられることがあります。懲戒処分情報は金融庁のホームページで好評されていますので参考にしてみてください。