紙の帳簿や書類をデジタルデータで保存することを可能にし、業務効率化やコスト削減だけでなく、働き方改革や環境負荷の軽減にも貢献する「電子帳簿保存法」。2024年1月1日からは電子データ保存が完全義務化されました。
では電子データ保存をする場合のファイル名は、どうすればいいのでしょうか。
今回は、電子帳簿保存法に沿った適切なファイル名ルールについて解説します。
電子帳簿保存法では、電子データの保存に関するファイル名の具体的なルールは定められていません。
ただし法的には「検索機能を確保するために適切な保存方法を講じること」が求められています。
つまりファイル名には取引の内容が一目でわかるようにしなければならないということ。
具体的には、以下の3つの情報で検索できる必要があります。
- 日付
- 金額
- 取引先
「日付または金額の範囲指定により検索できること」、「2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件で検索できること」も必要です。
適切なファイル名を付けることは、電子帳簿保存法の要件を満たし、業務効率を向上させるために不可欠です。
日付・金額・取引先を統一した順序で並べることで、社員間や取引先との情報共有がスムーズになり、検索や確認作業も効率化されます。
ファイル名に統一性がないと、後で必要なデータを見つけるのが困難になってしまうので、担当者ごとにファイル名のつけ方が異なることがないよう、必ず事前に社内でルールを設定しておきましょう。
ここからは具体的なファイル名を紹介していきます。
順番などは自由ですが、必ず順番を統一しておきましょう。そうすることで取引情報を効率よく検索・整理でき、後でファイルを探す際に便利です。
次の4つをファイル名に入れると利便性が向上します。
- 取引年月日:取引が行われた年月日を「年(4or2桁)」「月(2桁)」「日(2桁)」の形式で記載
- 取引先名:取引先の企業名や個人名を記載
- 取引金額:取引の金額を数字で記載
- 取引内容:取引の内容を簡潔に記載(例:見積書、請求書、領収書)
いつ、誰が、どの取引を行ったのかが簡単にわかるようにしておくと、自社だけでなく、受け取る側も理解しやすくなります。
例えば以下のような表記のファイル名は、上記4つの条件を満たしており、一般的に広く使われているファイル名です。
「20241222_○○株式会社_150000_見積書.pdf」
適切なファイル名を付けるためには、以下の注意点に留意することが重要です。
- 一貫性を保つ
- わかりやすいファイル名にする
- 記号の使用に注意
- ファイル名に個人情報を含めない
社内全体で統一したルールに基づきファイル名をつけることが大切です。担当者ごとに命名方法が異なると、後から検索や整理が非常に手間になります。ルールは事前に定め、全員で共有しましょう。
またファイル名が長すぎると検索しづらくなります。取引の重要な情報を簡潔に伝える名前にしましょう。
ファイル名に使用する記号は、システムによって制限がある場合があります。アンダースコア(_)やハイフン(-)などは広く使用されていますが、カンマ(,)やスラッシュ(/)などの記号は避けた方が安全です。
そしてセキュリティ対策として、個人名や住所などをファイル名に直接記載することは避けましょう。
電子帳簿保存法の完全義務化により、企業は電子データ保存に適切な対応が必要です。
適切なファイル名を付けるためには、取引年月日、取引先名、金額、取引内容などの基本情報を、一貫したルールで記載することが求められます。
法令遵守と業務効率化のためにも、社内でルールを統一ししっかり周知しておきましょう。