【介護休暇と介護休業の違いとは】取得できる条件や日数を解説

家族に介護が必要になったとき、仕事を休まなければならないこともあるでしょう。休む日が増えれば「退職」の文字が頭をよぎることも。

日本においては、仕事と介護の両立ができるような制度があります。それが介護休暇や介護休業です。

名称が似ているこの2つの制度は、どのような違いがあるのでしょうか。今回は介護休暇と介護休業の違いや、取得条件などを比較し解説します。

介護休暇と介護休業を比較

介護休暇と介護休業は、どちらも介護をするために労働者が取得することができる制度です。

簡単にいうと、介護休暇は「短期休み」、介護休業は「長期休み」。

どちらも労働者の権利として取得できることが、法律で定められています。

ここからは表で比較してみましょう。

このように、介護休暇と介護休業には違いがあります。

先述のとおり、簡単にいうと介護休暇は「短期休み」、介護休業は「長期休み」。

年間最大5日間、介護対象が2人以上の場合は10日間まで休みを取得できるのが介護休暇。一方で対象家族1人につき最大3回通算93日、つまり最長3か月間のまとまった休みを取れるのが介護休業です。

介護休暇は、要介護状態の対象家族を介護する、雇用期間が6ヶ月以上の全従業員。介護休業は、要介護状態の対象家族を介護する、同一の事業主に1年以上雇用されている全従業員。どちらも正社員、パート、アルバイト、契約社員など、雇用形態は関係ありません。

どちらも賃金は法的な定めがないため、原則無給です。しかし介護休業は雇用保険の「介護休業給付」の制度を利用し給付金を受け取ることができる可能性も。のちほど説明します。

介護休業はまとまったお休みとなるため、休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申し出なければなりません。一方の介護休暇は、口頭でも申請可能。しかし会社によってルールがあるため、介護の予定がある人は、申請方法をあらかじめ確認しておきしましょう。

対象となる家族

対象家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。

出典:厚生労働省

介護休業給付金制度とは

介護休業では、基本的に休業期間中は給料が支払われませんが、一定条件を満たすことで、介護休業終了後に介護休業給付金を受けられます。

介護休業給付金制度とは身内の介護のために介護休業を取得して仕事を休んだ場合に、賃金のおよそ67%をもらうことができる制度です。

介護休業給付金の主な給付条件は次のとおり。

  • 雇用保険の被保険者である
  • 対象家族の介護のために休業が必要である
  • 介護休業の終了後には職場復帰する前提である
支給額

休業開始時賃金日額×支給日数×67%

休業開始時賃金日額とは、介護休業の開始前6か月間の平均支給額のこと。

なお支給金額には上限があります。詳細は、管轄のハローワークで確認してください。

まとめ

超高齢社会である日本において、介護は避けては通れない道。

今後ますます、労働者にとって仕事と介護の両立は、大きなテーマになってくるでしょう。

また企業にとっても、優秀な人材が介護によって離職してしまうのは、大きな損失です。

介護休暇や介護休業は法律で認められた権利ですが、職場の仲間の支えがあってこそ成立する制度といえます。企業側も従業員側もしっかりと内容を理解し、助け合うことが大切です。