どんな業種や規模の企業であっても経理業務は欠かせませんが、誰にでもできる仕事ではありません。
企業にとってなくてはならない存在である経理人材ですが、専門知識や経験が必要な経理は、人材不足が深刻です。
経理業務をおろそかにすると、会社として機能せず、さらに不正などが発生するリスクもあります。
今回は、経理が人手不足になってしまう原因や解決策について解説。経理の人材不足に悩む企業の皆さん、ぜひ参考にしてください。
昨今はどの分野においても人手不足が叫ばれていますが、特に経理部門は、人材不足に陥りやすい傾向にあります。その主な原因は次の3つ。
- 専門スキルを持つ人材確保が難しい
- そもそも労働人口が減少している
- ノンコア業務である
経理業務には、簿記の知識をはじめ、税制や法令の知識、パソコンスキルなどが必要です。一度身につければいいというわけではなく、税法の改正やシステムの導入など知識のアップデートもしなければなりません。
さらには他部署とのコミュニケーションスキルも必要。
また経理は、伝票の作成やお金の管理などルーティンワークも多く、コツコツと作業を進める能力も求められます。
経理は誰でもできる仕事ではありません。むしろ多くの知識やスキルを備えた人が、常に知識のアップデートをしながらコツコツ正確に行う業務が経理。
「複雑で負担が大きい」と感じる人が多いのも、経理の人材不足の原因でしょう。
経理に限らず日本は今、少子高齢化により労働人口が減少しています。
労働人口が減れば、経理に必要なスキルを持つ人口も減少。
さらに経理職にもIT化は進んでおり、将来AIに仕事を奪われるのではないかという危惧もあって経理人材は不足する一方なのです。
とはいえ、経理はいまだ需要が高い状況。ITと経理スキルの両方があれば、より希少価値の高い人材になれるでしょう。
どの企業であっても経理業務はありますが、売上に直結するコア業務ではありません。
企業全体で人員不足に直面している場合、ノンコア業務である経理は人員補充が後回しにされることも。
経理がノンコア業務であることが、経理の人手不足がなかなか解消されない原因のひとつです。
経理の人手不足は、会社の存続や信頼性、イメージに影響します。
考えられる主な問題は次の3つ。
- ミスや不正が発生しやすくなる
- 既存社員の離職リスク
- 引き継ぎが難しくなる
経理部が人手不足であると、特定の担当者に業務が集中し業務負荷が重くなります。
業務量が多くなれば経理ミスが増える可能性も。経理にミスが起こると、会社が正しく回らなくなり、大きなトラブルに発展することも考えられます。
税務調査で厳しい指導が入ったり、会社の社会的信頼が落ちてしまったり、会社の存続危機に陥ることも大いにあり得るのです。また不正行為が起きるケースも否定できません。
繁忙期でも業務品質を維持できるよう、経理の人手不足は早急な対策が必要です。
経理部で人手不足が続くと、残業や適切な休憩が取れないなど、従業員の負担が増加してしまいます。年次業務や四半期決算などが重なる時期はさらに負荷がかかるでしょう。
労働環境の悪化は注意力の低下を招き、ミスを誘発。ミスをすればさらに精神的な負荷がかかり、労働環境が悪化…と、負のループを引き起こしてしまうのです。
その結果、離職してしまうというケースも少なくありません。
知識や経験が必要な経理業務は、特定の人に業務が属人化してしまうケースも少なくありません。
特定の担当者が急な長期休暇や退職することになってしまった場合には、引き継ぎができないことも。業務がブラックボックス化した状態では、誰も進捗状況を確認することができず、会社の存続危機にまで発展する恐れもあります。
では、経理の人手不足を解消するには、どうすべきなのでしょうか。ここからは3つの解決策を紹介します。
- 業務フローの改善
- デジタル化の推進
- アウトソーシングの活用
人手不足を解消するために、まずは業務フローを改善しましょう。
経理業務がどのように進められているか、無駄がないかを確認します。慣例となり長年続いている無駄な作業や、二重作業となっている業務があるかもしれません。
そういった無駄な作業を、まずは廃止や効率化することが重要です。
業務フローを改善すれば、人手不足による経理担当者の負荷が軽減されるでしょう。
先述の「業務フローの改善」にもつながりますが、経理業務にITツールなどを導入することで、業務を自動化できれば無駄な作業も減ります。
業務効率化が実現すれば、人手不足によるデメリットを解消しやすくなり、さらにペーパーレスやオンライン化も推進。初期投資は必要ですが、長い目で見れば、コスト削減にもつながります。
経理部の人材不足を解消する方法として、アウトソーシングはとても有効な手段。
社内で行っている業務の一部、もしくはすべてを外部に委託することで、業務の負荷を軽減できます。
社員が退職しても、アウトソーシング先の専門業者が対応できるため、引き継ぎができないというデメリットも最小限に抑えられます。
アウトソーシング先は経理のプロ。人手不足の解消だけでなく品質向上など多くのメリットがあるアウトソーシングの活用は効果的な解決手段です。
経理のアウトソーシングは、人手不足の解消だけでなく、さまざまな効果をもたらす方法です。
たとえば以下のようなメリットがあるでしょう。
- 人手不足が解消する
- 属人化を避けられる
- 品質が向上する
- 不正行為の抑止につながる
- コア業務に集中できる
経理の人手不足は多くのリスクが伴いますが、アウトソーシングを活用することで、それらのリスクを解消することができるでしょう。
すべてをアウトソーシングすることもできますが、業務の一部を委託することも可能です。繁忙期だけ、一部の業務のみなど、自社の状況に合わせて活用をするのもいいでしょう。
- 経理の人材不足は、ミスや不正が発生しやすくなる
- 経理の人材不足は、既存の経理社員の離職リスクが増える
- 経理の人材不足を解消するにはアウトソーシングの活用がおすすめ
専門知識が必要なため、人材の確保が難しく人手不足が生じやすい経理。
しかし経理の人出不足を放っておくと、取り返しのつかないことになり、最悪の場合、会社の存続にも関わります。
人手不足解消には、アウトソーシングの導入が効果的。すべてを外部に任せるのではなく、一部をオーダーメイドで委託できるアウトソーシング会社もあります。自社にとってなにが必要なのかをしっかり見極め、経理の人手不足によるリスクを最善の策で解消しましょう。