日本企業にも深く浸透し、多くのビジネスパーソンが使用する「PDCA」。
業種や職種を問わず、業務改善のために活用している企業も多いですよね。
しかしPDCAが提唱されたのが1950年代いうこともあり、「時代遅れだ」と考える企業も少なくありません。本当にそうなのでしょうか。
今回はPDCAがどのようなフレームワークなのか、PDCAのメリットやデメリット、失敗する要因などについて解説します。
PDCAとは、次の4つの頭文字を取ったもの。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
計画から改善までを1つのサイクルとして行い、この一連の循環「PDCAサイクル」を繰り返し回し続けることで、継続的な業務改善を図ります。
PDCAにとって重要なことは、「計画」を「実行」し、そのあと必ず「評価」をすること。評価は、成功しても失敗しても必ず行うことが重要です。
「Plan(計画)」は、PDCAサイクルの重要なステップ。まずは目標や目的を設定します。
5W2H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように・いくらで)をもとに計画を立てましょう。
ポイントは、現実的な目標を立てること。
必ず「年内に売上高10%アップ」など、期限と数値で表せる目標を設定します。
自分の業務量との兼ね合いや自分のできる範囲でPDCAを考えることも重要です。抽象的な計画ではなく、必ず具体的な目標を設定してください。
Planで計画した目標や課題に向けて「Do(実行)」します。
実行のプロセスや結果を、必ず記録しておくことが重要です。成功したことだけではなく、計画どおりにいかなかったものや課題などもすべて正確に記録しておきましょう。
必ず計画どおりに実行し”事実のみ”を記録します。計画どおり実行できなければ、その旨も記録しておきましょう。
「計画」を「実行」したら、必ず「Check(評価)」します。PDCAで最も重要といっても過言ではないプロセスが、この「Check(評価)」です。
計画どおりに活動できたか・達成できたかなどを評価します。
良い点も悪い点もすべて評価し、どちらも「なぜそのような結果になったのか」を入念に分析し課題を抽出しましょう。
評価して見えてきた”できた・できなかった要因”を踏まえて「Action(改善)」を行います。
悪い点を改善し、時には計画を中止や延期することも必要でしょう。
また良い点を伸ばすことも重要です。
改善のプロセスで考察した仮説をもとに、再び「Plan(計画)」に戻ります。
PDCAには、メリットとデメリットがあります。正しくPDCAサイクルを回すことで業務改善が期待できます。
まずはPDCAのメリットを把握しておきましょう。
- 目標ややるべきことが明確になる
- 課題や問題点、不足が分かりやすい
- 行動に集中しやすい
PDCAを活用すると、組織や個人の目標が明確になります。
目標達成に向けて仮説や道筋を立てることができるので、そのためにどのような行動を起こせばいいのかも計画しやすくなります。
組織内でのズレも生じにくくなるでしょう。
PDCAサイクルを回すことで、現状の課題や問題点、不足などがわかります。
Check(評価)のプロセスで、達成度や未完成度、成果や失敗がわかるので、目標と結果の乖離などの課題も明確に見えてくるでしょう。
PDCAは最初の段階で、目標と自分のすべきことが決まっています。
具体的な数値や指標も設定されているので、自分のやるべきことを行動に移し集中することができるでしょう。
また何度もサイクルを回していると、応用力なども身につきます。経験が力になるでしょう。
PDCAはやり方を誤ると失敗することも。続いてはデメリットです。
- 改善には時間がかかる
- イノベーションを生み出しにくい
- PDCAサイクルが途切れる・継続できない
- PDCAサイクルを回すことが目的になることも
PDCAは、計画→実行→評価→改善と一連のサイクルで改善を行うため、基本的に時間がかかります。
PDCAサイクルの途中で改善のいいアイデアが生まれたとしても、スピーディーに対応できないことも。
また必要な会議ではなく、報告会のような無駄な会議が増える恐れもあります。
PDCAは、過去の行動を評価して改善策を生み出す手法です。
前例や過去のデータを重視するため、既存の業務を改善するのに向いています。
イノベーションを生み出すには向いていません。新しい発想を生みたい場合は、ほかのフレームワークを検討したほうがよいでしょう。
PDCAは、計画→実行→評価→改善と一連のサイクル行うため、どこかで進めなくなることも。
PDCAは継続することで成長していきます。1回やって終わってしまっては本来のPDCAサイクルの効果が得られません。
PDCAサイクルは、目標を達成するための手段ですが、PDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまうことがあります。
回していることに満足してしまわないように注意してください。
OODAとは、次の4つの頭文字を取ったもの。
- Observe(観察する)
- Orient(判断する)
- Decide(決める)
- Action(行動する)
元々はアメリカ空軍戦術が発祥の、ビジネス、私生活、スポーツなどあらゆるシーンで役立つ考え方です。
観察することによって現状を認識し、観察結果から状況を判断します。具体的な方策や手段に関する意思決定を行い、実行に移す。これがOODAです。
PDCAはサイクルです。Plan(計画)→Do(実行)Check(評価)→Action(改善)の順に回します。
一方OODAはループです。必要に応じて途中で前の段階に戻ったり、もう一度再開したりできのが大きな特徴です。
自由度が高く変化に対応しやすいのがOODAの特徴ですが、ポイントの見極めや情報処理の難易度が高くなることも。
どちらが優れているということはありませんが、競争が激しい場合はOODAを活用するほうがスピーディーな対応が可能になります。
PDCAサイクルを回しながら、OODAループを行えば相乗効果も期待できますので、どちらも上手に活用したいものです。
- PDCAは業務の効率化を目指す手法
- PDCAは「計画→実行→評価→改善」の一連のサイクル
- PDCAでは「Check(評価)」が重要
- 同時にOODAループを行うことにより、相乗効果が期待できる
PDCAは計画から改善までを1サイクルとする業務効率化の手法です。長きにわたり日本の企業で使用されてきたメソッド。「時代遅れ」と揶揄されることもありますが、適切に活用することで業務効率化が期待できます。
またPDCAサイクルを回しながら、OODAループを行えば、更なる業務改善につながる可能性があります。どちらが優れているということはありませんので、両方のメリットを考えながら目標達成に向けた最適なメソッドを活用していきましょう。